「画用紙みたいなもう少しざらっとした書きやすい紙ってありますか?」
結婚式の印刷物をご希望で来店されるお客様に、お勧めの用紙を尋ねられることがあります。
その時に思い出すのが”アラベール”という用紙なんです。
◆手書きの想いが映える紙を探して
文字が書ける紙がいい。そうおっしゃった客様も、出席してくれた方への一言を書きたい……そんな思いだったのかもしれません。
親族の結婚式に参列した際にそう気が付きました。
何気なく裏返してみたその紙の裏に、手書きで「ねーね、出席してくれてありがとう!」一言そう書かれていたんです。
結婚式の準備はとても大変、それでも来てくれた人に“届けたい”感謝の言葉を。
その為に、どんな紙が良いですか? そう聞かれたらアラベールをお勧めします。
◆正直お勧めしたくない、素敵な紙
営業から「アラベールの在庫ってあったっけ?」そう聞かれた時、現場が一瞬ざわっとしました。
私の職場ではアラベールは常時在庫している用紙ではないんです。
「あると思いますけど、何に使うんですか?」
「お客様が文字が書ける紙がいいっていうからさ」
営業でもお客様に書きやすい紙をリクエストされて、選択肢に入ってくるアラベール。
ざらっとした質感で優しい雰囲気がありながら、高級感のある紙なんです。
- 若干の青白さを感じるくらい白色度の高い”ウルトラホワイト”
- 透き通った白さを持つ”スノーホワイト”
- 落ち着いた風合いの”ホワイト”
- 淡いクリーム色で暖かな雰囲気の”ナチュラル”
アラベールと言えばこの4種類が一般的でしょうか。
私が手に取ったことがあるのもこの4種類です。
その紙がなぜ、常備紙ではないのかといいますと……。
これがまた、うちの印刷機と相性がとても悪いんです……。
印刷時の紙詰まりや色ムラが起きやすく、さらに印刷機の調子まで崩れてしまうことも……。だからこそ、安定した印刷が必要な現場では“泣く泣く”常備を見送っています。
それでも営業経由のイレギュラーな案件では、別途発注して印刷することは度々あります。
なぜなら、営業の無茶ぶりのために……なんて言いたくないので、お客様の為に私達現場は対応方法を考えるのです。
・通常であれば大きい紙に面付・印刷して断裁するのを、仕上がりに近いサイズで印刷する
・機械の設定を色々変える、紙の向きを変えてみる
※正直、現場としてはあまりやりたくないのですが……
・無駄がたくさん出るのを覚悟で多めに印刷する
・次の日、メンテが来るまで使えなくなるのを覚悟で印刷する
……さすがにイレギュラーな対応ですが……思い出して、少し胸が痛くなりました。
◆それでも勧めたい理由がある
それは、やっぱりその紙にしかない雰囲気があるからなのでしょう。
ざらっとした質感の優しい高級感。
もしも、この文章を見てくれている貴方がその紙に印刷してみたいと思うなら。
私の職場の印刷機とは相性が悪いのですが、印刷業界では長く愛されているメジャーな紙ですので、検索をかければ色んなサイトで確認することが出来ます。
その中から対応できる印刷会社に発注してみるのが一番スムーズにいくかもしれません。
余談ですが「ちょっと高級感は欲しいけれど、ツヤのある紙はちょっと……」
そのようにお客様からご相談を受けることもよくあります。
その場合、雰囲気は異なりますが、マシュマロCoCをお勧めすることが多いです。
書きやすさは正直今一つなのですが、さらっとした質感のちょっとマットな高級感のある用紙。印刷も安定するので幅広くお勧めな用紙です。
その他にも、味わいのある紙はたくさんあるので、印刷会社の方と相談しながら探してみて下さい。
◆印刷では届かない、手書きの魅力
長年、印刷の世界にいると、どうしても“きれいに整った印刷物”に目が慣れてしまいます。でも――手書きの文字には、やっぱり特別な力がありますね。
うちの印刷機でアラベールがもっと綺麗に印刷できたなら、自信を持ってお勧めできるのに……と、いつも思ってしまいます。
もし用紙に迷っているなら、ぜひ一度、実物を手に取ってみてください。
そして、書いてみてください。言葉を、自分の手で。
アラベールに印刷してみたい、そう思った方は“アラベール 印刷”などで検索してみてください。
ちなみに、私のお気に入りは――アラベール・スノーホワイト。名前の響きも大きな理由の一つです。
用紙選びに迷った方へ
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私がアラベールを印刷した際に使わせていただいたのは、印刷の通販グラフィックさん。
校正確認時に仕上がりが分かりやすいので、初心者の方でもお勧めしやすいです。
特にスマートチェックで見る事の出来る校正画面……私の職場でも導入してほしいものです。

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