コミケ前夜、コピー本印刷の現場から|中綴じ・面付けの落とし穴とは?

印刷のうはう
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コミックマーケット前日――それは、オンデマンドを強みとする私の職場にとって“静かなる戦争”の始まりです。

コピー機やポスター印刷は常にフル稼働。待ち人数はいつもの倍……。

◆コミケは“印刷現場の戦場”

一般の方にはなかなか想像がつかないかもしれませんが、
この時期、印刷の現場はまさに“戦場”――コピー機はフル稼働、紙と時間の奪い合いです。

そのタイミングでのお問い合わせのお客様…図面のコピー等をご希望の場合、私はそっとお伝えします。

「かなり込み合いますので日にちをずらせるなら翌日にした方がいいですよ」

少しでも快適に、少しでもスムーズに。
それが“お客様への優しさ”だと、私は信じています。

◆なぜここまで混むの?印刷所が備える理由

実は小さなイベントは月に1回程度はありますが、正直混雑して初めて翌日にイベントがある事が発覚するという事も多々あります。

ですが、コミックマーケットは違います。
事前に私たちは日程を確認し、その日に備えて紙を発注し、印刷機もメンテナンスを入れ、万全の状態でその日に備えるんです。

それはやはり、コミックマーケットの規模は当然のことながら、そこにかける参加者の方々の熱意をサポートしたい。そんな思いからなのです。

私も昔少しだけ物書きをしたことがあるので分かるのですが、好きな事を書くのはとても楽しいのです。そして、何故かそれは前日まで書きあがらずに、仕事が終わった後に友人の原稿を深夜のカラオケで消しゴムかけを手伝う……。

今は時代も変わり、アナログで書いている方は減ったかもしれませんが、ぎりぎりまで思いを込めて書いている、という事は変わらないのでしょう。

◆コピー本の印刷でよくある失敗例と対策

そんなふうに、直前まで情熱を注ぎ込んで完成させた原稿でも、最後の“印刷”の段階で、思わぬ落とし穴が待っていることがあります。

特に多いのが、中綴じのコピー本を作ろうとした時の「ページ順の混乱」や「面付けの失敗」です。

・ページが足りず白紙が入ってしまった
・見開きになるように作ったつもりが、印刷したら順番が違った。

そう仰って、印刷したものを手に私達スタッフにご相談されるお客様も多くいらっしゃいます。

そこで初めてコピー本を作る方に、ぜひ覚えておいていただきたいポイントがあります。

中綴じ印刷は4の倍数のページで作る
見開きではなく、単ページ
※中綴じ面付での入稿が可能なら、見開きでもOKです
※今回フチなし印刷は想定していない為、四方に白いフチが付いた仕上がりになります。

ネット印刷を見ると多くが単ページか、見開きでの入稿指定になっています。

では何故コピー本で見開き印刷を推奨しないのか。
それは、中綴じからホチキスを外して分解してみると分かるのですが、中綴じは製本した時に見開きになるように、順番を並び替えて印刷してるんです。

その為、見開きデータや見開きで印刷した状態で原稿を持って来店されると、それを中綴じの面付に直すもしくは、単面にしてもらうという作業が発生してしまうんです。
“戦場”でそれらを行うのは結構至難の業なんです……。

※余談ですが、illustratorやPhotoshopで作成される方はPDFにして結合お願いします。
レイヤーで分かれたページ物、ページ分の数のファイル……コピー本の戦場で見ると泣きたくなります……。

単ページの原稿なら印刷機でその設定が可能なので、私の職場で恐らく毎年印刷されていると思われるお客様は、A4等ご自身で印刷した紙原稿をお持ちになって、コピーして製本されています。

コピーなので印刷が荒くなってしまいますが、大切なのは印刷よりも中身という事なんでしょうね。私も読むことが好きなのでその気持ちはよくわかります。もちろん、事前に印刷所に出して印刷された整った製本も大好きです。

◆誰でもできる、想いを形にする印刷体験

コミックマーケットや、イベントには出ないから関係ないと思う方もいると思います。
そんな方でも、印刷して形に残してみたいな……そう思ったことはありませんか?

印刷はページ数を書かないといけない、そんな事は無いんです。

これまでたくさんのお客様を見てきました。

  • みんなで旅行に行った写真を切り貼りして、手書きの文章を添えて、その思い出を印刷されている方。
  • ペットの写真を手に、ポストカードにしたいと仰る方。
  • ご両親へ送るんですと仰って、お子さんの写真でカレンダーを作る方。

デジタル化が進んでいる印刷業界でも、やはり紙の温かさで伝わるものはあると信じています。

コピー本を初めて作って、それを手にしてみて今度はちゃんとした印刷所に出してみたい!
その思いからネット印刷に挑戦する方もいらっしゃるでしょう。

そういった方々の力に少しでもなれたらいいな……そう思いながら私は戦場に備えたいと思います。



📚「初めてのコピー本づくりに挑戦してみたい!」という方へ

本文でご紹介したように、中綴じ印刷にはちょっとしたコツと準備が必要です。
ここでは、私が実際に使っているものや、お客様にご案内した事のあるアイテムをいくつかご紹介します。

あなたの“初めての一冊”を形にするお手伝いが、少しでもできたらうれしいです😊


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🔹 ネット印刷(グラフィック)

普段私が使っている「グラフィック」さんの同人誌特化ページです。
テンプレートも豊富で、初めての方でも比較的わかりやすいと思います。

※ただし…間違えて中綴じ用に面付けしたデータで入稿しないでくださいね!
実際それで知り合いがそれで悲劇を……。

🔹 中綴じ用ホチキス

実際に現場でもこういう道具を使って手製本することがあります。
見た目はちょっと頼りなくても、意外としっかり“本”になるんです。

自宅でコピー本を作りたい方は、ひとつ持っておくと便利です。

私が使ったことがあるのは、マックスさんの
【ホッチキス タテヨコ ホッチくる】という製品。

手に取った瞬間、「本当にこれで製本できるの?」と不安になるかもしれませんが、
意外としっかり綴じられるんです。実際、店舗でも使われています。

※中綴じ用のホチキスは他にも色々ありますので、購入の際は対応するホチキスの針(10号など)や綴じられる枚数の上限にご注意ください。

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