「一瞬の判断が、まさかこんな後悔につながるとは思いませんでした。」
印刷業界、特にDTPオペレーターという現場では、接客や作業対応に追われながらメールもさばく、そんな日常が続きます。
そして、そんな「忙しさのすき間」で起きた、ちょっと苦い出来事をお話しさせてください。
◆「未読スルー」で起きた、1通のメール事故
それはある日、職場に届いた1通のメールから始まりました。
『〇〇様 先日はお世話になりました。つきましては本件の領収書を発行していただく事は可能でしょうか?』
差出人は、以前やり取りのあったお客様。
その日は担当の〇〇さんがお休みで
「明日〇〇さん出勤だし、メモを残すか、余裕があれば代わりに返信しよう」
そう思いながら、私はメールをそっと未読に戻しました。
「未読=未対応」という共通認識があるから、最悪誰かが気づいてくれるだろう。
そんな、どこかで“他人任せ”の気持ちもあったのです。
◆対応したはずが…誰も返信していなかった?
そして――1週間後。
ふとした瞬間に、胸の奥がざわつきました。
「……あのメール、ちゃんと誰か対応したんだっけ?」
不安になってメールを検索。
見つけたメールには、既読マークがしっかりと付いていました。
「よかった、対応してくれてたんだ」
……そう思った次の瞬間、全身がひやりと冷えました。
返信がどこにもないのです。
返信じゃなくて新規メールを作ったのかも!
(この時の私は「誰かが返信してるよね?」という希望に、すがってしまったんです……)
送信履歴を調べても、メールは送られていない。
「……誰かが読んでそのままスルーしてしまったのかもしれない」
そう気づいた時、すぐにお詫びのメールを作成しました。
「もしすでにご連絡済みでしたら、重ねてのご連絡となり申し訳ありません」と添えて。
幸いお客様は急ぎではなかったため、領収書をPDF送付で事なきを得ました。
◆“誰かがやる”は、“誰もやらない”の始まり
この出来事を経て、私は痛感しました。
「誰かがやってくれるだろう」は、
往々にして「誰もやらなかった」につながるのだと。
確かに、職場内にメールを読んだ人が対応するという暗黙のルールはあります。
けれど、複数人が関わる以上、こうした“宙ぶらりん”が生まれるのもまた事実です。
ルールだけではなく、仕組みが必要。
ヒューマンエラーをゼロにするのは難しいけれど、それを“想定して動く”ことはできるはず。
だからこそ、次は「自分が動こう」と思えたのです。
◆“気づいてたのに動かなかった”貴方へ
この記事が、似たような環境で働く誰かの参考になればと思い、書きました。
「誰かがやるだろう」で後回しにしたこと
「気づいていたのに動かなかった」後悔
もし貴方にも、そんな経験があれば――
ほんの一言メモを残す。
たったそれだけで、次の“誰か”が救われるかもしれません。
◆動きすぎて、疲れている貴方へ
もしかしたらこの記事を読んで、
「はぁ……私はいつも“自分が動こう”ばっかりやってるよ」
と、どこか疲れた気持ちになった方もいるかもしれません。
実は私自身普段はわりと“先回りして動く側”です。
でもこの時は、ほんの少し「他の誰かに任せてもいいかな」と思ってしまいました。
その結果が、この小さな“宙ぶらりん”だったんです。
だからこれは、決して「動かない人へのお叱り」ではなく――
「動くことの責任」を、ちゃんと自覚しようとした人間の反省記です。
「自分が動いたこと」に、誰かが救われた――
そんな体験も、きっとどこかにあるはずです。
今日の貴方の一歩が、誰かの「助かった」に変わりますように。
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