断裁機の前で、思わずこう思いました。
「……私の腕が鈍った?」
印刷現場にいると、ほんの数ミリのズレで冷や汗をかくことがあります。
今回は、DTPオペレーターとして働く私が直面した、ある“ヒヤリ”な出来事を共有します。
◆「これ、ズレすぎでは?」事件のはじまり
その日扱ったのは、A4サイズに面付けされたチケット風データ。
お客様は慣れた様子で、データも一見、整っていそうでした。
普段なら、Illustratorでガイドを引いたり、1枚印刷して折って確認するのですが……
店頭は混み合っており、つい確認を飛ばしてしまったのです。
「この程度なら大丈夫だろう」──
軽い気持ちで印刷を始めました。
◆微妙なズレ、だけど許容範囲?
印刷枚数は30枚ほど。
断裁してみると、若干のズレはありましたが、想定内の0.5〜1mmほど。
ぎりぎりまでデザインがあるので断裁位置がずれると文字が切れて使えなくなりますが、これくらいなら断裁途中で調整出来る……はず。
「まぁ、こんなもんかな」と作業を続行。
半分に断裁し、さらに仕上がりサイズになるよう数回カットしていきました。
が、仕上がった用紙を確認していたそのとき──
「……デザイン、切れてない?」
◆断裁ミス?いや、何かがおかしい…
仕上がった用紙をぱらぱらと捲りながら見てみると、途中からデザインの一部が完全に切れているのです。
焦った私は、再印刷 → 再断裁へと踏み切りましたが……
結果は同じ。
断裁機のせい? 私の腕?
不安と焦りが高まる中、店頭には待っているお客様。さらに別のお客様も次々と来店し、場がカオスに。
スタッフから「あとどれくらいで完成しそうですか?」と声をかけられたそのとき──
ようやく我に返り、深呼吸。そしてデータを再確認しました。
◆真の原因は、面付の“落とし穴”
Illustratorに配置してガイドを引いてみると……
途中から面付自体が、少しずつズレていたのです。

見た目は整っていた。けれど、ガイドで見れば一目瞭然。
つまり、最初からズレていた面付データを、確認せずそのまま印刷してしまったのでした。
お客様には状況を説明し、快く時間をいただけたので、
データを修正し再印刷・断裁。無事に納品できました。
(通常であればお客様へデータの修正をお願いしております。)
◆この失敗から学んだこと
たとえ忙しくても、
たとえ「ちゃんとしてそう」に見えても──
ひと手間の確認は、未来の自分を助ける。
慣れた作業だからこそ省略しがちな「ガイド確認」。
でもそれを飛ばしたことで、余計に時間を使い、お客様をお待たせしてしまいました。
◆おわりに:未来の私へ
確認は未来のトラブルを防ぎます。
それが、“基本”の重みです。
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